雑記

分析麻痺症候群とは? 知識も大切だけど、体験して場数を踏んだ人間だけが醸し出せる空気感を大切にしたい。

経営の勉強をしていると、分析麻痺症候群という言葉が出てくる。

分析麻痺症候群とは、過剰な情報収集や分析によって意思決定が遅れたり、できなくなったりする状態のこと。決断の必要なとき、完璧を求めすぎて必要以上にデータを集めたり分析したりすることで、行動に移せなくなる心理的な状態のことを表している。

自分以外の経営者の方々というのは、本当によく勉強をしているなぁと感心する。分析麻痺症候群の話ではないけれど、ありとあらゆるデータや根拠、理論を調べつくしている。それっぽい言葉、カタカナもよく知ってるよね。

ダイバーシティ推進とか。なんなんだろう。海にもぐってサンゴでも見に行くんだろうか。「それは西端マターですね」なんて言葉も聞いたりする。わからない。パタパタママなら知ってる。ポンキッキー?あの頭の良さそうな経営者さんはガチャピンなんだろうか。

みんなえらいよ、賢い。

会社をやり始めて間もない頃、あるコンサルタントさんに言われたことがある。「西端さんはもっと経営について勉強をしないと、会社をこかしますよ。どうです?私をコンサルとして採用しませんか?」

ふぁー。
そうかー。自分の馬鹿さっぷりはバレているんだなぁ。

まだ二十代。これではだめだなぁと思い、一生懸命勉強するのではなく、小難しいことを知っていそうな雰囲気を醸し出す研究をした。その結果、なんとか二十年近くやってこれたので、ハッタリって大事なんだなというのが自分の行きついた結論である。

勘じゃだめだよ。

よく言われる。右か左か。なんとなく右。そういうのはダメ。まぁそうなんだろう。それはわかる。

ただ、咄嗟に判断しなくちゃいけないこともある。そんなときはやっぱり、これまでの経験で判断するしかない。教科書を開いて確認している余裕なんてないわけで、場数を踏んできた人間だけが感じられる風向きを信じて身をゆだねる。案外、それでなんとかなる。

だから自分はやっぱり、自分の部下や後輩たちには、チャンス・機会を与え、その人自身が体験(体感)する回数を増やしてもらいたいなぁと努めているのである。


体験したこと/体感したことだけを伝えていくのが説得力であり、においなのではないか。
https://www.kobe-maekawa.co.jp/bata/archives/20

高校時代、日本史が苦手で志願して教卓の前に座らせてもらった。先生に言われた。

「希望して黒板の前に座る子も珍しいけれど、それですぐに居眠りを始められる度胸を持った子はもっと珍しいぞ」

褒められたんだろうなぁ。

授業だけじゃ退屈だよ。分かった気になるだけ。それでは「におい」は生じない。経験することを大切にしてほしい。だから自分は動き過ぎない。与えることに注力する。それだけ。あれもこれも指示を出して、指示待ち人間をつくることは、その人生に対してあまりに無礼だと思っている。

醸し出したいよね。場数を踏んだ人間の空気を、においを。