雑記

明石海峡大橋を往く壁のように大きな船。海峡の街に住む僕たちはそれを見届けて。

毎朝、大蔵海岸を歩いたり走ったりしている。

小さな漁船から大きなタンカーまで、様々な船が明石海峡を往来しているのを眺めるのは楽しい。霧の濃い日などは、お互いの接近を知らせる汽笛が街中に響き渡る。夜は睡眠を邪魔されることもあるけれど、それもまた、海峡の街に生きるゆえの風情。安全第一。

マンボウのようなユニークな形の船がやってきた

意外に高速で、あっという間に自分の横にやってくる(歩くのが遅いからというせいもある)。

おおお。でかいなあ。壁だよ。


そばで見上げたら、きっと圧倒されるんだろう。こんなに大きな塊が海に浮いて沈まないのだから不思議。理屈を形にしちゃう人たちってすごいよね。どんな計算式が頭に入っていて、魔法の海にしちゃうのか。彼らならいつか、僕に翼だって与えてくれるかもしれない。

✳︎

時々、この場所で「見えてるよー」と携帯で話しながら船に手を振る人を見かける。友だちか家族がフェリーに乗っているのだろう。微笑ましい光景だ。

携帯で話しているのだから声を大きくする必要はないし、船の上からはたぶん、手を振っていることはわからない。だけど人間は、きみという存在を認知していることを伝えたがる生き物だし、僕という場所がここにあって、旗を振っていることを伝えたがる生き物でもある。

海は穏やかに、そんな僕たちを見つめている。